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[図解]古物商の許可が必要かどうかの判断基準

皆川 裕介

2022/6/14

古物に関するビジネスをする場合、古物商の許可を取らなければならないとされています。

「許可が必要な場合と、不要な場合を端的に教えて欲しい」
「メルカリ、ヤフオクでも必要でしょうか?」

この記事は、このような疑問やお悩みをお持ちの方にむけて書いています。

古物商の許可が必要か不要かの判断基準をズバリ解説します。
それでは、まいりましょう。

目次

1. 判断基準① 取引の形態

古物商の許可が必要かどうかを判断する基準は、「古物の買い取り」をしているかどうかです。
古物の売却をしていたとしても、自分の不用品を販売しているだけであれば、「古物の買い取り」をしていないので古物商の許可は必要ありません。

このような制度になっている理由は、古物営業法の目的が「盗品の流通を防ぐこと」であるからです。

古物営業法 第1条(目的)
この法律は、盗品等の売買の防止、速やかな発見等を図るため、古物営業に係る業務について必要な規制等を行い、もつて窃盗その他の犯罪の防止を図り、及びその被害の迅速な回復に資することを目的とする。

盗品の換金手段となる恐れがある古物販売のビジネスを許可制にすることで、盗品が流通することを防ごうとしています。

このような背景を踏まえ、詳しく解説していきます。

(1) 古物商の許可が必要な取引、不要な取引

古物商の許可が必要な取引

古物の買取りが発生するビジネスを行う場合、古物商の許可が必要となります。

特殊なケースで言うと、以下のような取引は、一見古物の買い取りを行っていないように見えますが、古物商の許可が必要となります。

  • 古物を下取りする場合

  • 古物を預かって売れたら手数料を貰う場合(委託販売)

  • 古物を別のモノと交換する場合

金銭を対価にしているかどうかに関わらず、盗まれたモノが市場に流れる恐れがある取引を行う場合は、許可が必要ということです。

例外として、下取りを行う場合で、自分自身が販売した商品の買い戻しのみを行う場合であれば、許可は不要とされています。
自分自身が販売した商品を買い戻すのであれば、盗まれたモノが紛れむ可能性が低いからです。


一方、以下のような「古物の買い取り」が発生しない取引は、古物の売却をしていたとしても、古物商の許可は必要ありません。

  • 自分の不用品を販売するだけの場合

  • 新品の転売

  • 古物を無料で引き取る場合

上記のような取引には、盗品が紛れ込む恐れが極めて低いと考えられているからです。
盗みを働いた犯人が、盗んだものを無料で引き渡すとは考えにくいため、古物を無料で引き受ける場合は許可は不要とされています。

(2) フリマアプリ、ネットオークションの場合

これまで確認したように、自分の不用品を販売するだけの場合は、古物商の許可は不要とされています。

「ひょっとして、自分用に購入したことにして、販売すれば許可は要らないのではないか…?」

…と考えるかもしれませんが、そうはいかない仕組みとなっています。
警察庁はこの点について「古物営業法の解釈基準について」という文書を出して、以下のように回答しています。

平成7年9月11日警察庁通達「古物営業法の解釈基準について」
バザーやフリーマーケットについては、その取引されている古物の価額や、開催の頻度、古物の買受けの代価の多寡やその収益の使用目的等を総合的に判断し、営利目的で反復継続して古物の取引を行っていると認められる場合には、古物営業に該当する。

自分用に購入したと言い張ったとしても、反復継続的に売買を行っている場合は、言い訳はきかないというわけです。
では、どの程度の取引量を超えたら、許可が必要になるのでしょうか。

過去の裁判例では、営利目的で一回でも古物取引を行った場合は、古物営業法の規制対象となるとしています。
基本的には、ビジネスとして古物商をやるのであれば、取引回数や量によらず、古物商の許可が必要ということとなります。

しかし、現実には自分の不用品処分と、営利目的の古物取引の境界線が曖昧である場合もあるでしょう。

そこで、参考となる基準があります。
特定商取引法という法律のガイドラインに、インターネットオークションにおいて「販売業者」に該当すると考えられる基準が示されています。

インターネットオークションにおいて「販売業者」に該当すると考えられる基準
  • 家電製品であれば、同一商品を一時点で5点以上出品

  • 自動車・バイクであれば、同一の商品を一時点で3点以上出品

  • CD・DVD・パソコンソフトであれば、同一の商品を一時点で20点以上出品

  • ブランド品、インクカートリッジ、健康食品、チケット等であれば、該当する商品を一時点で20点以上出品

特定商取引法という別の法律の基準ですので、この基準は飽くまで参考でしかありませんが、同種の商品を同時に複数出品するような場合は「事業的である」と見られやすくなると言えるでしょう。

2. 判断基準② 取扱う商材

一部の商材について、古物営業法の対象外とされているものがあります。

古物に該当しないもの

古物営業法の目的は盗品の流通を防ぐことですので、大きすぎて盗まれる可能性が低いものや、中古品としての流通が想定されにくいものは規制の対象外とされています。

  • 基準に該当する大型機械

  • 廃品

  • 美術品としての価値がない古銭

  • 化粧品、薬品、サプリメント、お酒

  • 庭石、石灯籠

上記にて明確に対象外とされている商材の古物取引を行う場合は、古物営業法の規制対象となると考えた方が良いでしょう。
判断が微妙な商材を取り扱う場合は、最寄りの警察署や専門家にご相談されることをお勧めいたします。

なお、古物商の許可制度では、「取り扱う古物の種類」を13種類区分から選んで申請する必要があります。
ご自身の取り扱い商材が、どの区分に該当するかは、こちらの記事で詳しく解説しております。

● 関連記事 古物商の許可|種類・区分の選び方、よくある質問に答えます

古物商の許可|種類・区分の選び方、よくある質問に答えます

古物商の許可申請書に用意されている13種類の区分に該当しなければ、古物商の許可は不要であるという情報も出回っておりますが、過去の裁判例で否定されています。
明確に規制対象外とされている商材以外は、原則この13種類の区分にあてはめて申請する必要があります。

未使用品であれば古物でないのか

古物というと、一般には中古品をイメージされますが、古物商の許可の規制には「未使用品」も含まれます。
警察庁の通達にて、小売店などから一度でも一般商品者の手に渡った物品は、それが未だ使用されない物品であっても「古物」に該当するとされています。

ブックオフから仕入れるせどりであれば、古物商の許可は不要であるといった情報も出回っていますが、上記の基準から考えれば間違いであることがわかると思います。

まとめ

古物商の許可は、盗品の流通を防ぐことが目的の制度です。
そのため、盗品の換金手段となり得る「古物の買い取り」を行う場合は、古物商の許可が必要となります。

メルカリ、ヤフオク等で自分の不用品を処分するだけであれば、古物商の許可は必要ありません。
ただし、反復継続的に古物を販売する場合は、ビジネスであると考えられますので注意をしましょう。

古物営業を行う場合、古物商の許可を取ることは義務であり、無許可営業の場合、3年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられます。
ただ、義務的な側面だけでなく、古物商の許可を取ることは、ビジネス上のメリットもあります。

以下の記事では、古物商の許可を取ることのメリットについて、詳しく解説しております。

● 関連記事 古物商の許可のメリット|ぶっちゃけ役立つの?

古物商の許可のメリット|ぶっちゃけ役立つの?
(参考) 昭和31年3月29日最高裁判所判例:営利目的の取引と判断される反復継続の定義について言及されています
(参考) 昭和29年2月23日最高裁判所判例:13品目が古物の対象を制限する意味は持たないと明言されています
(参考) 平成28年11月 古物営業質疑応答集(警察庁生活安全局生活安全企画課):美術品としての価値がない古銭が対象外であることが言及されています
(補足) 古物質屋営業法関係法令集(第一法規出版):廃品、庭石、石灯籠が対象外であることが言及されています。廃品は旧古物商取締法では規制対象とされていましたが、古物営業法制定時に対象外とされました。庭石、石灯籠は、盗まれる可能性が低いものとして、古物商取締法時代より対象外とされてきました
(補足)化粧品、薬品、サプリメント、お酒等の使用してなくなるものは、警察庁の実務運用上対象外とされています。 他人が消費したものが中古品として流通することが考えにくいとされてきたことによります
(参考) 平成7年9月11日 警察庁通達「古物営業関係法令の解釈基準について」:未使用品が古物に含まれることについて言及されています

この記事を書いた人

皆川 裕介

行政書士(登録番号:19080399) / 日本証券アナリスト協会検定会員

株式会社ショシナビ 代表 ショシナビ行政書士事務所 代表行政書士 古物商許可を専門分野とし、全国対応で許可申請および実務支援を行っている行政書士。 2026年7月時点で、古物商許可に関する申請・相談対応を累計3,335件以上行っている。 無許可営業状態からの是正、法人・多拠点での申請、業態変更や移転に伴う変更届対応など、 古物営業法の運用を踏まえた実務対応を継続的に行っている。