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皆川 裕介
2022/7/4
古物商の許可事業者は、古物の買取りをする際に、身分証などで本人確認をして取引を記録する義務があります。
また、販売時にも一定の種類、金額の商材に関しては、本人確認をした上で取引相手の情報を記録しなければなりません。
「全ての取引について本人確認してたらきりがないんだけど、全部やらないといけないの?」
「具体的によく使われる方法を教えて欲しい」
「メルカリ、ヤフオクで取引しているんだけど、その場合も本人確認義務があるの?」
この記事は、このような疑問やお悩みをお持ちの方に向けて書いています。
古物営業法の主目的は、盗品の売買防止と速やかな発見です。
そのため、古物商の許可事業者には、古物の買い取り依頼者の身元を確認を行い、その情報を記録することが義務づけられています。
1回の買い取り総額が1万円以上の場合、身元確認義務は必須となります。
ただし、以下の物品については、買い取り総額が1万円未満であっても、身元確認を行わなければいけません。
金額に関わらず身元確認が必要な物品
ゲームソフト
映画、音楽を記録したCD、DVD、Blu-ray Discなど
書籍
自動二輪車、原動機付自転車
これの物品は換金目的のための万引きや窃盗の被害が多いためです。
また、不正防止のため買い取り総額が1万円未満であっても、独自の基準で身元確認を行っている企業もあります。
古物営業法には定められていませんが、各都道府県条例で青少年からの古物買取が規制されている場合があります。
東京都青少年の健全な育成に関する条例 第15条
古物商は、青少年から古物を買い受けてはならない。
青少年が保護者の委託を受け、又は保護者の同行若しくは同意を得て、物品の質入れ又は古物の売却をするものと認められるときは、適用しない。
東京都では、18歳未満の青少年から古物を買い取る場合、保護者の同行や保護者の同意書の提示を受ける必要があります。
その際、同意書の署名が買取依頼人の筆跡と同一でないか、電話で保護者に問合せをし電話に出た人が成りすましでないことを生年月日の確認等ににより確かめます。
法律上は以下の2つの方法のうち、いずれかを行えば十分ですが、多くのリサイクルは両方の方法で本人確認を行っています。
身分証明書、運転免許証、健康保険証等を用いて、住所、氏名、年齢、職業を確認する
住所、氏名、年齢、職業を目の前で記載して貰う
職業の確認は、「会社員」や「自営業」等だけでなく、勤務先の名称まできちんと確認する必要があります。
宅配買い取りを行っているリサイクルショップの多くで、以下の方法が取られています。
STEP.1
本人確認書類のコピーを受け取る
お客様から運転免許証などの本人確認書類のコピーを送付して貰います。
Webサイト上へのスキャン画像のアップロード等でも問題ありません。
STEP.2
転送不要の簡易書留で住所確認をする
本人確認書類の住所宛てに、転送不要の簡易書留を送り送達を確認します。
その他に、本人限定受取郵便を使い本人確認をする方法もあります。
この場合、お客様は郵便を受け取る際に本人確認書類の提示を行う必要があります。
中古品買い取り大手のブックオフコーポレーションでは、本人確認書類等のアップロードで確認が取れない場合、本人限定受取郵便で本人確認を行っています。
(参考) ブックオフコーポレーションの本人確認方法(https://www.bookoffonline.co.jp/files/embed/selltop_fix.html)
古物の販売には身元確認の義務が求められていませんが、一定の金額、商材に該当する場合は販売時の取引記録が求められており、身元確認が必要となります。
記録しておく事項は、販売年月日、古物の品名・数量、古物の特徴、販売相手の住所・氏名・年齢・職業です。
販売時の身元確認・取引記録が必要となる商材
対価の総額が1万円以上の美術品類
対価の総額が1万円以上の時計・宝飾品類
対価の総額が1万円以上の自動車(部品を含む)
自動二輪車・原動機付自転車(部品を除く)
古物商は古物の買取り、販売時に行った身元確認にもとづき、帳簿へ取引を記録しなければなりません。
記録しておく事項は、取引年月日、古物の品名・数量、古物の特徴、取引相手の住所・氏名・年齢・職業です。

これまで確認してきたように、
買い取り時は、1万円以上は全ての古物取引、1万円未満は換金目的の盗品の多い4品目
販売時は、原則対象外で、美術品、時計・宝飾品、自動車、自動二輪車・原付の4品目のみが、身元確認・取引記録の対象とされています。
古物営業法施行規則に「古物台帳」という公式のフォーマットが用意されていますが、必ずこの様式を使わなければならないわけではありません。
以下のような方法で記録する方法でも問題ありません。
エクセルやPOSシステム等で必要な事項が記録されている
1件ごとの取引伝票等を取引順にファイリングしている
古物取引を記録した帳簿や伝票は、最終記録日から3年間営業所に保管しておかなければなりません。
必要時にただちに取り出したり、印刷したりできる形で保管しておく必要があります。
これらの帳簿類を紛失などしてしまった場合は、管轄の警察署に届け出をしなければなりません。
届出をしなかったり、虚偽の届出をしたりした場合は、懲役6ヵ月以下または30万円いかの罰金もしくは併科に処せられますので、しっかり保管するようにしましょう。
古物台帳の詳細な記載方法については、以下の記事で詳しく解説しております。
● 関連記事 古物台帳の書き方とテンプレート|エクセルダウンロード

古物の買取依頼を受ける際に「不正品ではないか」と疑いを持った場合、直ちに警察へ申告しなければなりません。
この義務を怠った場合、営業停止や許可取消などの行政処分の対象となります。
このような物品は盗品の疑いがあります
新品、最新機種であって使った様子がない
製造番号・シリアルナンバーが消されたり、はがされている
パソコンのアダプターなどの付属品がない
商品についているネームが買取依頼人と異なる
保証書やギャランティーカードがないブランド品など
データが残ったままのパソコン
ビニールで包装されたままの書籍、CD・DVD・Blu-ray Disc、ゲームソフト
商品札、タグがついたままの商品
盗品と知らずに買い取り・販売をした場合は、罪にはなりませんが、日頃から十分に注意深く業務にあたる必要があります。
盗品とわかって買い取りを行った場合は、盗品譲受け等の罪に問われます。
偽物や模造品は知的財産権の侵害にあたり、商標法や不正競争防止法違反に問われます。
偽物であることを知りながら本物として販売した場合、「人をだまして価値の低い商品を売りつけた」として詐欺罪に問われ、10年以下の懲役となります。
また、その商品を購入した人には代金返還や損害賠償をしなければなりません。
以下のような商品は偽造・模造品に該当します。
無断複製や海賊版のCD・DVD・Blu-ray Disc、ゲームソフトなど
許諾のないプレインストール販売
偽ブランド品やレプリカ
古物商の許可事業者には、取引相手の身元確認、取引の記録が求められます。
金額や商材により身元確認・取引記録義務の免除がありますが、買い取りに関しては実務上すべての取引について行っている企業もあります。
盗品の疑いを持ったまま買い取りを行うことは営業停止や許可取消、さらには盗品譲受け等の罪に問われる恐れもあります。
疑いを持った場合は、直ちに警察署へ申告しましょう。
この記事を書いた人
行政書士(登録番号:19080399) / 日本証券アナリスト協会検定会員
株式会社ショシナビ 代表 ショシナビ行政書士事務所 代表行政書士 古物商許可を専門分野とし、全国対応で許可申請および実務支援を行っている行政書士。 2026年7月時点で、古物商許可に関する申請・相談対応を累計3,335件以上行っている。 無許可営業状態からの是正、法人・多拠点での申請、業態変更や移転に伴う変更届対応など、 古物営業法の運用を踏まえた実務対応を継続的に行っている。